からくり通信

2006年4月12日 第20号

箱根・小田原に蓄積されてきた木工技術や「からくり」のアイディアを基礎に、新作を開発し「からくり」の新たな魅力を、箱根・小田原から世界に向けて発信しています。同時に作品展示や新作の開発、お客さんとの交流の拠点となる「からくり館」の実現を目指しています。

●拠点作りの第一歩「からくり工芸館 たなか」がオープン!
4月12日に「からくり工芸館 たなか」がオープンしました。からくりのドアや家具、からくり箱50点以上が展示され、さわって遊べます。販売も行っています。箱根・小田原地方には、高度な木工技術や「からくり」のアイディアが蓄積されています。研究会は、この基礎を背景に「からくり館」が実現すれば、作品の展示・発表の拠点となり、「いつでもからくりで遊べる場所」となり、地域産業にも貢献するものになると考えます。工芸館のオープンは、「からくり館」実現に向けての一歩とも言えるでしょう。

入館料 :大人300円 小人(小学生以下)200円からくりクラブ会員本人は無料

開館時間 :午前10時〜午後5時(定休日は木曜日)

交通 :箱根登山線 入生田駅下車 徒歩3分(入生田駅は小田原駅より約10分)※厳密な運用方針となっていませんので、遠方よりお越しの際には、事前にお電話で確認をお願いします。また展示会への出品等の為に、展示内容が大幅に変更になることがあります。ご了承下さい。

〒250−0311 神奈川県足柄下郡箱根町湯本7番地

からくり工芸館 たなか 電話0460−5−5084

からくり創作研究会   電話0465−32−3631
 

 

●新作の開発その@ 

「バレンタイン」で新作発表会

去る2月、研究会は「ちょっと手ごわいバレンタイン!」をテーマに新作発表会を開催しました。テーマを決めた新作発表会は初めての試みでしたが、「愛の告白の日」にふさわしい作品を作ろうとメンバーにも気合が入ったのか、素敵な新作が生まれ、楽しい展示会となりました。

今回は久々の新作発表会となりましたが、研究会としては、その予想以上の盛り上がりを見て、改めて創作活動の大切さを実感する機会ともなりました。今後は、毎年1回の新作発表会を目指して創作に励んでいきます。

 

●新作の開発そのA 

からくり家具を作ります。今度はテーブル!

研究会は、アメリカの著名なパズル収集家・研究家のジェリー・スローカム氏等の企画への出品として、仕掛のあるテーブルを計画中です。すでに構想は出来上がり、製作に取り掛かろうとしています。作品はアメリカへと発送してしまいますが、心配はご無用。国内向けにも、ちゃんともう一台を作ります。新作のからくり家具としてご披露できる日も、そう遠くはないでしょう。
 

●新作の開発そのB 

「からくり小箱」・Xmasプレゼント

「手のひらサイズで気軽に買える」がテーマの「からくり小箱」の続編として第4、5、6作を発表、好評を頂いています。どれも手数は少ないながら、なかなか手ごわい作品です。挑戦あれ!

昨年は、からくりクラブ(研究会のファンクラブ)の会員向けに8種類のXmasプレゼントを作りました。その中で、カンナからカンナ屑のように名刺が出てくる異色の作品(写真)や、旧型ポストを模したかわいらしい作品(写真)など面白い作品が生まれ、話題を集めました。

研究会は、3〜4月にかけて、徳島県の「あすたむらんど徳島 子ども科学館」でも展示会を開催しました。  

以上

 

 

からくり通信
2005年5月1日 第19号

●電気で動く「秘密箱」が完成!

  このたび研究会は、電気で動く「秘密箱」を完成させました。紙面では動画でお見せできないのが残念ですが、動きは5回の引出付の秘密箱で、自動的に5回で開いて5回で閉まります。一度開いて閉まるまでを一行程とし、ボタンを押してスタートさせるモード、センサーで前を人が通ると動き出すモード、連続運転のモードの切り替えが可能です。夏の展示会に登場予定です。

本来秘密箱は手で動かすもの。「それをなぜ電動で?」と思う方も多いはず。ファンの方からは「電気は使わないのが信条だったのでは?」との声も聞こえてきそうです。まあ、ちょっとやりたかったもので…。いえいえ、これはあくまで展示会用の作品です。夏には展示予定ですが、もっと早くご披露できるかも…? 

模様は小寄木や山水画も考えましたが今回はリオグランデという美しい木を採用。サイズは長辺が約45センチ。普段の作品の製作と並行しつつ1年以上にわたって開発を続け、ようやく発表の運びとなりました。

 

●東京と兵庫で展示会を開きます

★ふるさと情報プラザ「箱(手業)展」(東京)
神奈川県からお声をかけて頂いた展示会で、小物作品の展示で参加します。
5月30日(月)〜6月3日(金)、電話(03−3284−0855)
(財)地域活性化センター、JR有楽町駅近く、 http://homepage3.nifty.com/fjp/

★有馬玩具博物館 からくり展(タイトル未定)(兵庫県)
7月20日(水)〜8月31日(水)
遊びコーナー、ケース内の展示を含め、小物作品約50点を展示予定。
休館日あり。電話(078−903−6971)、  http://www.arima-toys.jp/ 

★姫路科学館「か・ら・く・り パズル展〜しかけに挑戦〜」(兵庫県)
2005年7月28日(木)〜9月11日(日)
電動秘密箱、からくり版人生ゲーム、小物多数を展示予定。
休館日あり。詳しくはお電話で(0792−67−3001)             http://www.city.himeji.hyogo.jp/atom/

 

●「研究会」のファンクラブがスタート

 1月から、「からくり創作研究会」のファンクラブとして「からくりクラブ」がスタートしました(亀井のファンクラブから発展)。その企画として、各職人が会員向けのXmasプレゼントを製作します。もちろん新作です。会員の方に、過去の作風を参考に予め作る職人を選んでもらう仕組みです。職人の中には「自分を選んでもらったのだから」と意気込みや緊張感が生まれています。



●お産店「たなか」で販売開始

研究会の田中のお店にてからくりの展示・販売を始めました。普段からお客さんの感想を知る機会になることも期待しており、少しずつ作品を増やそうと考えています。お立ち寄りの際は、作品の感想や希望など、店主の田中までお聞かせ下さい。場所は国道1号線沿い、小田原から箱根湯本に向かう途中の右側です。
 箱根ろくろ細工とおみやげの店「たなか」 電話0460−5−5084 

 

●貯金箱、組木、秘密箱の歴史の資料を翻訳

パズル玩具に詳しい、からくりクラブ会員の高島直昭氏の協力を得て、過去に箱根・小田原で作られ輸出されたパズル(仕掛のある貯金箱、組木、秘密箱など)とその歴史についての報告書「Early Japanese Export Puzzles 1860s to 1960s(著者Jerry SlocumおよびRik van Grol)」の翻訳を行い、「初期の日本の輸出パズル」という冊子を作りました。恐らくこの地方のパズルでは世界有数の収集家であるJerry Slocum氏の膨大な収集品を元に、豊富な写真と共に具体的で詳しい報告がなされています。お問い合わせは研究会まで(電話0465-32-3631)。

 

●アメリカの若いパズル職人を紹介

HPで、研究会の友人でありアメリカの若いパズル作家&職人、ケーゲン・シェーファーさんの紹介を始めました。日本にも彼のファンがおり、更なる活躍が期待されています。彼の作品を見ると、日本のからくりに通じる部分もありつつ、一方で文化の違いか、かなり違った考え方も見え隠れします。研究会にとってもいい刺激になっており、相乗効果でいい作品作りにつなげたいと考えています。


以上

 

 

からくり通信
2004年6月4日 第18号

●新しいシリーズ作品「からくり小箱」を発表!

「プレゼントやお土産に気軽に買えるからくりが欲しい」、「ポケットに入れて持ち運びができると、友達に見せやすい」…。そんな期待に応えるべく、からくり創作研究会は、半年間の研究を経て、新しいシリーズ作品「からくり小箱」を発表しました。今回発表の作品はその第1作目。続いて第2作、第3作も、現在製作段階に入っています。

 「かわいくて、気軽に買えて、しかも面白い」。研究会は、そんな3拍子そろった作品を目指して、昨年末からおよそ10種類を試作。その中から最も面白いと思われる3種類を選び、その構造や動き方に工夫を重ね、ようやく製作に漕ぎ着けました。その中でも第1作は、たった3手の動きなのに、解答を見ないと開けるのは至難の業!また、表面には「うろこ」と呼ばれる寄木を使用、その中には、独自に開発した研究会のロゴマークの寄木をあしらいました。「からくり」の文字が読み取って頂けると思います。本当のところ、このロゴ寄木の製作には、しびれるほど苦労してしまいました。価格帯は、店頭で2000円台を想定。

●この夏、岡山と茨城で展示会を開催します

この夏、研究会は二ヶ所で展示会を開催します。いずれも大物作品が中心となります。研究会のメンバーは常駐しませんが、どうぞご来場ください。

       日立シビックセンター(茨城県) 7月21日(水)〜8月31日(火)
               「からくりドア」による「からくり迷路」を展示。一部小物も展示。

       倉敷科学センター(岡山県) 7月17日(土)〜8月31日(火)
               「からくり家具」による「おやじの部屋」(亀井作)を展示。一部小物も展示。

●科学技術館で作品を展示しました(東京)

2004年3月20日から4月4日にかけて、東京にある科学技術館でからくり創作研究会の作品が展示されました。これは春休みの特別展「‘04木工アート展−メカ木ズム&からくり箱の世界−」によるもので、およそ20点の作品が並びました。今回は、研究会のメンバーは会場には出ていませんでしたが、多くの方に楽しんでいただけたようです。
 

●「削ろう会」で作品を展示しました(厚木)

 2004年4月10日・11日の2日間、神奈川県の厚木市で「削ろう会」が開催されました。「削ろう会」とは、全国の大工さんなどが作る、鉋の薄削りに挑戦し、楽しみ、「技の文化」の継承を目指す会で、年二回、全国各地で開催されています。研究会で「近場の開催なので見学に行こうか」と話していたところに、「作品を展示しませんか?」とのお誘い。という訳で行ってきました。

 

 

 

 

 

大工さんが多い会場の中で、研究会の展示はちょっと異色かな?とも思いましたが、心配をよそに、大盛況の賑わいでした。いかつい顔の大工さんも、からくりを手にして子供の顔になっていました。

10月23日・24日には、「削ろう会」香川大会が開催されるそうです。

 

 
●「からくり細工」がNEW YORK TIMESに登場!

な、な、な〜んと!「からくり細工」があのNEW YORK TIMESに登場。これは大ニュース!?

紹介されたのは「コーヒーカップ(亀井作)」などのからくり。

アメリカでパズル愛好家が集まるイベントが開催され、そのイベントを紹介する記事の中で取り上げられたもの。

紙面とインターネット版の両方で取り上げられました(写真はその紙面)。
 

以上

 

 

からくり通信
2003年9月20日 第17号

● 名古屋展は大成功でした

研究会は、7月19日から8月31日にかけて、名古屋市科学館にて「手で考える!? 木組みからくり展」を開催しました。39日間の開催で、子どもたちを含めてのべ8万8千人以上の皆様にご来場頂き、大成功のうちに幕を閉じることが出来ました。ご来場頂いた皆様、応援して下さった皆様、本当にありがとうございました。また、この展示会は、名古屋市科学館の方々、中日新聞社の方々、アルバイトの皆様、名城大学の学生の皆様など、多くの方々に様々な形で助けられ、その共同によってこそ、成功させることができたものです。研究会一同、心から感謝しております。
 さて、展示会の第一会場には10台のからくりドアを配置し「からくり版人生ゲーム」をお楽しみ頂きました。第二会場には小物のからくり作品数百点を展示し、手で触れる遊びコーナー、からくり細工を解説するビデオコーナー、創作秘密箱のコーナー、歴史作品や沖山英夫の作品の展示コーナーなどを用意しました。また、からくり家具による「がんこおやじの部屋」も設置し、1日2回の実演も行いました。あるお客さんからは「何よりも展示作品の多さに驚いた」という感想を頂きましたが、今回の展示会は、私たちにとっても、経験したことの無い、大規模な企画となりました。


名古屋展は大盛況でした



●「4年間の総決算」として

今回の展示会は、私たちにとっても貴重な経験となりました。はじめての「からくり版人生ゲーム」の製作への挑戦や、本の作成と合わせての歴史作品の研究、秘密箱の発展を目指した「創作秘密箱」の製作(9作品を発表)など、取り組んだ様々な企画は、どれも貴重な成果を残し、同時に私たち自身にとっても、数々のドラマを生みつつ貴重な経験となりました。あるメンバーは「俺は職人だから、人前は苦手で…」と話していましたが、意を決して実演に挑戦し、終わってみれば「やればできるもんだね」と、ちょっぴり自信をつけたようでした。
また、会場では、説明員として学生の皆さんなどの協力も頂きましたが、初めて見るはずの「からくり細工」を次々と覚え、子どもたちともすぐに仲良くなり、私たちとは違う新鮮な視点で説明する姿には、感心さえさせられました。
研究会は、この名古屋での展示会を、発足から4年余りの活動の総決算と考えて準備を進めてきました。今回の展示会は、全体としては大成功でしたが、同時に、至らなかった点や、反省点も生まれました。現在研究会は、その成功を嬉しく感じながらも、反省会を開き、今後のことについて話し合いをすすめています。

<お詫び>名古屋展のお知らせの葉書で、朝の開館時刻を間違って30分早く書いてしまい、ご迷惑をかけてしまいました。申し訳ありませんでした。

● 歴史作品の本・研究会の本を作りました

研究会は、岩崎宗純氏の監修のもとに、この地方の歴史の中のからくり細工をまとめた本を作りました(写真左)。また、私たち自身の作品を紹介する本を作りました(写真右)。お問い合わせは、以下までお願いします。
(tel&fax 0465−32−3631)
 

 

 

からくり通信
2003年3月11日 
第16号

トピックス:
「創作秘密箱」と命名
名古屋展の開催日決定
「沖山英夫作品集」を発表

●「創作秘密箱」と命名します

 からくり創作研究会が創作する新しい秘密箱を「創作秘密箱」と命名します。ご存知のように、現在からくり創作研究会は、これまでとは違う新しい秘密箱を創作しようと研究開発を進めており、もうすぐ第一号をご披露できそうです。この「創作秘密箱」の名称は、言わばシリーズ全体の名称で、これらの作品全体を「創作秘密箱シリーズ」などと呼んでいきます。もちろん、個々の作品には、個別の名前も付けます。これまで、研究会のメンバーの間では、仮に「新秘密箱」と呼んできましたが、「『新』だと10年経っても『新』のままじゃない?」ということもあり、この名前を選びました。ちなみに英語では、“Creative Secret Box” または “Creative Secret Box Series”と呼んでいきます。
 

〜この夏、名古屋市科学館でお待ちしております!〜

展示会のお知らせ

テーマ:「手で考える!? 木組みからくり展」

内容 : からくりドア、一般展示、遊びコーナー、教室、歴史展示など

日程 : 2003年7月19日(土)〜8月31日(日)

         休館日 : 7月22日(火)、7月28日(月)、8月4日 (日)、

                                             8月18日(月)、8月25日(月)

会場 : 名古屋市科学館( http://www.ncsm.city.nagoya.jp/

お問い合わせ : からくり創作研究会(電話0465−32−3631)


●「秘密箱の名工 沖山英夫作品集」を発表

からくり創作研究会は、岩崎宗純氏の監修のもとに、長年にわたり優れた箱根細工・秘密箱を作り続けてきている沖山英夫(おきやまよしお)の作品集を製作・発表しました。
沖山英夫は、歴史ある秘密箱作りを継承・発展させるとともに、新しい作品作りに励み、数々の傑出した作品を生み出してきました。同時に、私たち研究会の会長を務めたこともあり、後輩の指導にも力を注いできました。
 本作品集では、沖山英夫の数多くの作品を写真とともに紹介し、同時に秘密箱そのものの歴史や仕掛についても分かりやすく解説しています。今日、秘密箱などの文献的資料は、極めて希少なのが現実です。そのような中で、この作品集を完成できたことを嬉しく感じております。どうぞ、沖山英夫の魅力あふれる作品の数々と、歴史ある秘密箱の世界をお楽しみ下さい。

仕様はオールカラーの36ページ、「箱根細工・秘密箱」という誇るべき文化を微力ながら世界に向けても発信しようと、英語文も掲載しています。
お問い合わせは、からくり創作研究会(電話0465−32−3631)までお願いします。
 この作品集の製作に当たり、多くの方々や関係機関にご協力を頂きました。改めて感謝申し上げます。

「秘密箱の名工 沖山英夫作品集」

発行:2003年3月1日

監修:岩崎宗純

編集:からくり創作研究会

以上