からくり通信
2003年1月1日
第15号

トピックス:
“新しい秘密箱”製作開始
名古屋展タイトル決定
からくりドア製作進む

●“新しい秘密箱”ついに製作開始

研究会が2002年の夏前から取り組んできた“新しい秘密箱”の企画が、ついに製作の段階を迎えました。この通信を書いている現在、3種類の設計が完成し、「木取り」、「材料の乾燥」などの最初の作業を終え、本格的な製作に入りつつあります。他にも既に数種類の試作品・アイディアが出され、検討を重ねています。表面の模様も既に決定し、並行して製作中です。

さて、この企画には、これまでの他の作品とは違って、研究会内の役割分担があります。まず設計ですが、これはもちろん各メンバーが担当します。設計・アイディアについて、前回の通信では「これまで蓄積してきた研究会のノウハウを活かし…」と書きましたが、いえいえ。第1作から、全く新しいアイディアを披露できそうです。

次に製作は、長年トリック作品を作り続けてきた熟練の宮本達雄さんが担当します。これは、この企画の為の特別なスタイルです。これまで研究会にとって、「生産力」が1つの課題でした。各メンバーが寄木、おもちゃなど別の専門を持っているからです。よって、このやり方で生産力を上げ、同時に比較的量産型のスタイルをとって価格を抑え、更に、同じ職人が作ることにより、品質の一定化を目指します。

そして最後に表面の模様は、研究会きっての“デザイン系”のメンバー岡裕之くんが担当しています。これは岡くんの素案を元に4〜5回ほども検討を重ねました。例会のたびに、他のメンバーは容赦のないわがままな注文を突きつけ、岡君は大分苦労したはずです。でも、おかげで、みんなが「これはきれいだ」と言える模様が完成しました。ここで発表しようかとも思いましたが、やっぱり、それは秘密。作品発表をお待ちください!
 

●研究会のロゴマークが決定しました。「からくり」の文字が読み取れますでしょうか?今後、色々な所に掲載していきますので、よろしくお願いします。

 

●「手で考える!? 木組みからくり展」名古屋展のタイトル決定!

からくり創作研究会が2003年夏に名古屋市科学館で開催するからくり展示会のタイトルが「手で考える!? 木組みからくり展」に決定しました。いよいよあと半年と少し。着々と準備が進んでいます。

 

●“誕生から天国まで”からくりドアの製作進む

名古屋展の重要な企画の1つ、“からくり版人生ゲーム”の準備が進んでいます。既にほぼ全てのドアのアイディアが決定、製作中です。写真はドアの担当者が集まった専門部会の様子。僕が遅れて到着すると、中からは何と笑い声が…。どんなドアにするか、普段はお休みの日に、昼間から夜中まで、楽しみながら熱心な話し合いが続きました。


人生は“誕生のドア”から始まって“天国へのドア”へ。しかし、人生は1つとは限りません…。おっと、内容はここまで。作業場には既にほぼ完成したドアも。明らかに“普通ではない”ドアの前で、僕までワクワクしてしまいます。お客さんが、あれこれと想像しながら挑戦する様子が、目に浮かぶようです。

 

● 大川式秘密箱をリメイク、歴史作品の撮影、リメイク第2弾へ

歴史コーナーでは、歴史作品のリメイク第1弾として、前回「もう1つの別の仕掛けの秘密箱」と紹介した“大川式秘密箱”を作りました。製作は二宮義之さんが担当しました。これは、会場に展示予定です。また、からくり細工の歴史の資料集めとして、公共施設、コレクターなどの協力を得ながら、作品の写真撮影を進めています。初めて見る作品も見つかっています。現在大量の写真を整理中ですが、正直、なかなか骨の折れる作業です。集めた資料をどう活用するか、現在検討中です。更に、リメイク第2弾として、ある非常に希少なタバコボックスのリメイクを進めています。

以上

 

からくり通信
2002年5月28日
第14号

トピックス:
研究会”新しい秘密箱”に挑戦
名古屋展・歴史コーナーの様子

●研究会ブランドの ”新しい秘密箱”を作ります

 研究会は今後、研究会ブランドの”新しい秘密箱”の開発にチャレンジします。これは、これまで蓄積してきた研究会のノウハウを活かし、文字通り「秘密箱の発展」を目指すものです。細部はまだ未定ですが、従来の秘密箱の動きに限定することなく、様々なからくりを駆使して、バラエティーに富んだ多数の作品の開発を目指します。表面には、研究会オリジナルのデザインを開発し、これを統一採用する方向で検討を進めています。また、これまでのからくり作品と比べて、価格の抑制が可能な量産向きのシンプルな外形デザインを基本とします。

 さて、研究会が”新しい秘密箱”に挑戦するといっても、研究会の作品の方向性を全く変えるという訳ではありません。研究会はもちろん、これまでと同様に、新しいからくり作品の創作を続けていきます。今回の構想は、これに加えて、新たに研究会の活動と作品の巾を広げようとするものです。同時に研究会では、この構想が成功すれば、ささやかながら、小田原・箱根の地域産業にも貢献できるのではないかとも考えています。尚、今回はこの構想を”新しい秘密箱”という名前でご紹介しましたが、正式には、「秘密箱」という名前で呼ぶかどうかも、今後の検討課題となります。何分、どんな作品ができるのか、まだ私達にも分からないのです。2003年の名古屋展を1つの目標に、第1段階の成果が発表できればと考えています。乞うご期待!


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学習中のメカニズムの本と箱根物産史



●2003年夏の名古屋展、秘密箱の原点に迫る!

 2003年夏の名古屋展では、その企画の1つとしてこの地方のからくり細工の歴史・博物コーナーの設置を予定しており、現在その準備を進めています。

 さて研究会は、このコーナーの準備過程で、ある貴重な秘密箱を入手することができました。これは、秘密箱の創始者と言われる大川隆次郎氏の、その大川家に保存されていたものです。古い秘密箱はかなり散乱・紛失しているのが実情であり、そんな中で実に貴重な作品と言えます。この秘密箱は、仕掛そのものはシンプルですが、伝統ある秘密箱の原型の1つとして、思いを馳せるものがあります。また、秘密箱の原型としては、もう1つの別の仕掛けの秘密箱の存在が知られており、名古屋展では、こちらのリメイクも準備します。名古屋展では、現在の秘密箱の原点となるこれらの2つの秘密箱を展示・紹介できる予定です。

 文献調査も進んでいます。実際の所、文章化された資料は非常に乏しいのが実情ですが、複数の史書から記述が見つかっています。こうした調査の過程で、秘密箱について、もう少し古い歴史・ルーツが見えて来ましたが、今回の通信ではここまで!そう、それはまだ「ヒミツ」です。名古屋展をお楽しみに!

●継続して例会を開催、名古屋展に全力を注ぎます(総会より)

 研究会は、今年は展示会は開催せずに、2003年夏の名古屋展の準備に専念しています。「今年の夏の展示会はいつですか?」とのお問い合わせも頂きましたが、今の所は計画していません。楽しみにしてくれた方、ごめんなさい。

 さて研究会は、今年も毎月継続して例会を開いています。名古屋展の準備、作品反省会を継続しつつ、新たにメカニズムの学習会も始めました。4月6日には総会を開催しました。昨年は発足2年目でしたが、夏は松屋の展示会、IPP(世界的なパズルイベント)のコンペ出品や箱根ツアーのお手伝い、秋は有馬温泉・御所坊での展示会と、1年目に負けない忙しさでした。年末には、こうした成功に甘んじてはいけないと、品質向上に向けて厳しい反省会も行いました。総会では、こんな1年間を振り返り、今後の1年は2003年夏の名古屋展を研究会の活動の「総決算」と位置付けて、力を注いでいこうと気持ちを新たにしました。

以上


からくり通信
2001年12月25日
第13号

◆トピック◆巨大からくり展へ/例会から/有馬温泉での展示会報告

●”巨大からくり展”へ本格始動!(2003年・名古屋)
 からくり創作研究会は「巨大からくり展(名称未定)」に向けて準備を進めて
います。からくり版「人生ゲーム」をテーマとする「からくりドア」は、迷路の中に沢山のからくりドアを配置するという形で検討を進めています。喜びや悲しみ、人生を彩る様々な出来事、そして時折訪れる転機。これらをどうドアに表現するか、具体的にテーマを出して吟味しました。
 からくり教室については、当初は子ども達を対象にした教室を考えていましたが、これに加えて、新たに「大人を対象とする本格的な教室を開いてはどうか」という案が出されました。それも、研究会のメンバーが創作した実際の作品を作ってしまおうという大胆企画です。是非挑戦あれ!とは言ってもまだ計画段階ですが、教室用のキッドを設計し、作者本人が説明に立つというベストの形で実現できるよう、検討を進めていきます。
 歴史・博物コーナーについては、現在のからくり細工につながる箱根細工・秘密箱の発祥やその発展の歴史などについて、文献などから調査を始めています。過去の歴史上重要な位置を占める作品については、そのリメイクも含めて検討していき、実際の作品とともにその歴史をご紹介したいと考えています。
 この”巨大からくり展”は、新しいからくり作品の創作を目的として発足した私たちからくり創作研究会にとって、発足から4年間の総決算になると考えています。こんな意気込みで、2002年も次の飛躍を目指して頑張ります。

             

●例会では技術面・品質面を研究
 研究会は、有馬温泉の展示会(後述)の後、3回の例会を開きました。これらの例会では、”巨大からくり展”の話し合いだけではなく、前回の通信でもご報告した「技術的な面について、さらに力を入れて研究を進めていく」という方向に沿って、特に技術や品質に着目した作品反省会を行いました。これまでメンバーが創作した約50点の全ての作品を対象に、お客さんから頂いた実際の意見を元に、一人一人について「時間無制限」で率直に意見交換を進めています。そう、ここに「進めています」と書くのは、つまり、あんまりじっくりやるものだから、3回も開いたのにまだ全員は終わっていないのです。(う〜ん、次は僕の順番だ。年明早々、諸先輩方々からどんな辛口のご意見を頂戴することやら…。)それにしても、朝から晩まで一日中の話し合いなんて、みんなよく頑張ります。これぞ職人の道?

●有馬温泉・御所坊で展示会
 研究会は、10月3日〜29日の約1ヶ月間、有馬温泉・御所坊の「ガレリーア レティーロ デ オーロ」において展示会を開催しました。夏の新作はもちろん、遊び用の作品を多数用意し、またからくり家具も展示しました。結局、作品数は当初の計画よりもかなり増えて、およそ100点の大展示となりました。お客さんはとっても喜んでくれたのですが、「めずらしい」という感想が多かったのが特徴的でした。
 ある学生のお客さんは、すっかり夢中になって一日中遊んだ上に、今度は数人を引き連れて2度までも遊びに来てくれました。話を聞くと、彼は「幼児教育が専門なのに木工にはまっている」そうな。そして、ふと気づくと彼は、会場の子どもたち相手に説明員をしているではありませんか!これがからくり業界七不思議の一つ。お客さんがいつの間にかスタッフに変化(へんげ)するのです!それが、子どもたちは大喜び。「さすが幼児教育!」私たち研究会の会長がよく言いますが、こんなお客さんとの触れ合いも、展示会の魅力の一つなのです。
 関西地方で初めての大きな展示会は大成功でした。また、会場となったギャラリーのスタッフも、よりよい展示の為に休日まで返上してとっても熱心にやってくれました。それからワタクシ、説明員として現地に滞在しながら、たっぷりと温泉にも入らせてもらったのでした。めでたし、めでたし。

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有馬温泉での展示会の様子

以上(岩原)


からくり通信
2001年9月1日
第12号

◆トピック◆有馬温泉で展示会/松屋での新作発表会報告、他/例会から

●有馬温泉・御所坊で展示会
 夏の新作発表会が終わったと思ったら、息つく暇もなく、と言ったら言い過ぎですが、早くも次の展示会が近づいて参りました。場所は有馬温泉。東京のど真ん中の展示会から一転して次は温泉地。だいぶ違った雰囲気の展示会となりそうです。少し大きめの展示会としては、関西地方では初めてとなります。新作発表会よりも少し多い出品を予定しています。「東京の展示会は遠くて…」という方、ぜひこの機会にご来場下さい。

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大人だって遊びたい!
2001年10月3日(水)〜10月29日(月)
OPEN 9:00〜17:30(毎週火曜日休館)
ガレリーア レティーロ デ オーロ

〒651-1401 神戸市北区有馬町835  п@078−904−0858
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●新作発表会は大成功!
  ありがとうざいました。
研究会は8月7日からの約2週間、松屋銀座にて2001年の新作発表会を開催しました。会場にて「去年面白かったから今年も来たよ!」と声をかけて下さる方もおり、多くの方にご来場頂いて、大盛況のうちに終えることができました。ありがとうございました。今年は、旧作も含めて、敢えて昨年よりも多くの作品を用意しました。準備する立場の僕が言うのもなんですが、なかなかいい雰囲気だったと感じています。数としても、純粋な新作だけでも10点以上、既に発表していたが松屋銀座では初めて、という作品を含めれば15点以上となりました。

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すごい!いえいえ、これもみんな、応援して下さる皆様があってのことです。本当に。中には、買って頂いた作品を展示会が終わるまで見本としてお貸し頂き、さらに挙句の果ては、終了時の片づけまで手伝って頂いた方もおりました。もう、感謝の言葉もありません!

●オープニングパーティー/大勢のパズル家が常設展示を訪問
 8月8日には、銀座のジャズクラブで新作発表会のオープニングパーティーを開催しました。こちらも約60名の参加と大きなパーティーとなり、貴重な交流の場となりました。参加者には組木などのプレゼントも用意しており、こちらも好評を頂けたようです。
 8月13日には、大勢のパズル家が私たちの常設展示を訪れました。実はこの時期には、IPPという世界中のパズル愛好家が集まるイベントが日本で開催されていました。その企画の一つとして、私たちの常設展示訪問や秘密箱や組木を探しての「箱根ツアー」が組まれたのです。私たちも、新作発表会と同時進行でしたが、臨時に展示作品を増やして準備していました。余りに人数が多くて大混雑でしたが、楽しんで頂けたようです。中でも、外国の方にはなかなか紹介できない、からくり家具を楽しんで頂けたことは貴重でした。

●研究会の例会から
このように、この夏は去年にも増して大忙しだったわけですが、研究会では新作発表会の終了後、すでに1回目の反省会を開きました。全体としては大成功でも、一方で振り返れば反省点もたくさん出てくるものです。例会では、技術的な面について、さらに力を入れて研究を進めていくことになりました。興奮状態から、ふと我に返る例会となりました。研究会は、これからも新たな飛躍を目指して頑張ります!
以上
(岩原)


からくり通信
2001年5月21日
第11号

◆トピック◆ 銀座松屋で新作展/名古屋・巨大からくり展/有馬温泉で展示会

●銀座松屋で新作発表会
 新作発表会の季節が近づいてまいりました。今年もまた、からくり創作研究会は銀座松屋にて新作発表会を開催します。皆様のご来場をお待ちしています。

 

新作を準備してお待ちしています。ぜひご来場下さい!
からくり創作研究会・新作発表会
〜大人だって遊びたい!!〜
於 銀座松屋デパート7階 遊びのギャラリー
2001年8月7日(火)〜8月20日(月)

 

●”巨大からくり展”に向けて発進!(2003年・名古屋)
 からくり創作研究会は、2003年名古屋市科学館において「巨大からくり展(名称未定)」を開催します。これまでの展示会とは違い、会場も作品の数も、大きな規模の企画を予定しており、既に準備を始めています。
●会場は300坪 ★ からくりドアは20枚 ★ 作品展示もズラリ
 場所は名古屋市科学館で150坪(=24m四方)の会場が2つ。第1会場にはからくりドア(又は門)20枚を配置、からくり版「人生ゲーム」をテーマとし、ドアによって人生の喜怒哀楽を表現します。第2会場は、最新作から過去の作品までを一堂に展示する他、触って遊べる「遊びコーナー」から手作り「からくり教室」、からくりに関わる過去の歴史を紹介した「博物コーナー」も用意します。研究会としても、これまでの創作活動の総決算となります。お楽しみに!

●10月には有馬温泉・御所坊で展示会
 2003年まではまだ時間がありますが、こちらはこの秋。有馬温泉の御所坊にて展示会を開催します。詳細は追ってご報告しますが、「東京までは遠いから…」という関西地方の方、どうぞお楽しみに。また、遠くの方も「有馬温泉にゆっくりつかりながら…」というのもいけるかもしれません。「う〜。僕が行きたい!」

●総会もやって新たな気持ちでスタート!
 研究会は、3月末には、毎年恒例の総会も開きました。「締める所は締める!」というわけです。研究会のメンバーにとって、昨年度は、まさに激動の1年間でした。ちょうど1年前のドキドキの第1回新作発表会をはじめ、夏の2回目の新作発表会、NYの美術館での作品展示、地元の木工品フェアでのからくり教室など、目が回るほどの忙しさでした。それが、皆様のお支えのもと、研究会の活動も何とか軌道にのってきています。何かと至らない点もありますが、これからもよろしくご指導下さい。みんなで気持ちを新たにした総会でした。

●東急ハンズ(心斎橋店)にて展示会を開催しました。
 3月9日〜25日、東急ハンズ心斎橋店(大阪)にてからくり創作研究会の展示会を開催しました。関西での展示会は初めてでした。研究会のメンバーの説明は日曜日だけでしたが、多くの方に楽しんで頂けたようです。ご来場頂いた皆様、ありがとうございました。(尚、この展示会において、開催日程等についての不手際があり、ご来場の皆様にご迷惑をおかけしてしまいました。申し訳ありませんでした。)

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東急ハンズ心斎橋店(大阪)にて

以上
(岩原)