からくり通信
1999年10月21日
第2号
研究会では、まず講演会を開いて学習することにしました。講演会は月に1回のペースで、からくりの創作に関わる様々な分野の専門家を招いてきました。これまで4回の講演会を開きましたが、どれも素敵な講演でした。その様子をちょっと紹介します。
●第1回 ノブさんが世界のパズルを紹介(6月1日)
講師は世界的なパズルコレクター・デザイナーである芦ヶ原伸之さん。

お札が隠せる紅茶入れ
パズルの世界はからくりの世界に通じるところがあります。ここから学ばない手はない、というわけで、世界的なパズルコレクター・デザイナーである芦ヶ原伸之さん、通称ノブさんをお呼びしました。さて、初回ということでメンバーは少し緊張気味。しかし、さすがノブさんだけは違いました。何と最初に切り出した言葉は「パズル人生を謳歌しております!」こんな自己紹介は聞いたことがありませんでした!そしてノブさんは、いっぱいに膨らんだカバンから珍しいパズルを次々と取り出して紹介、メンバーをあっという間にパズルの世界へとひき込んでいきました。注ぎ口のないポット、ひきだしの隙間が見えない丸い箱、そのまま傾けるとビールがこぼれるジョッキ、転がすと各部品にばらばらになる木のパズル、遠心力で解くパズル、お札が隠せる紅茶入れなど実に多彩でした。またノブさんは、同じく世界的なパズルコレクターであるアメリカのジェリー・スローカムさんが編集したパズルのスライドを見せてくれました。ここでは、研究会の会員でもある二宮義之さんが作成した五重塔の組木なども登場しました。
そんなわけで、目の前のパズルに夢中になっている内に、講演会はあっという間に終わりました。メンバーには大いに刺激になったようです。しかし、パズルも凄かったのですが、それ以上に、ノブさんのパズルへの入れ込みようが凄いと思いました。本当にとんでもない方でした。とにかく、第1回はとってもいい講演会でした。

転がすとバラバラになります
●第2回 折り紙で作る多面体の世界(6月24日)
講師は折り紙作家の川村みゆきさん。著書に「多面体の折紙」。
第2回は、視点を変えて多面体について学びました。講師の川村さんは、2歳の頃から折り紙を始めたそうです。著書「多面体の折紙」は、色々な多面体を折り紙で折ってしまおうという本です。ちなみに出版社は日本評論社、2900円(税別)です。
さて講演の方ですが、前半川村さんは、どんな多面体があるのかの紹介から始め、立体同士の関係やその構成などを丁寧に説明してくれました。後半は、実際に折り紙を使って、みんなで基本的な立体を5つ作るのに挑戦しました。メンバーは「折り紙でこんな形が出来るんだ!」とみんな驚いていました。多面体には美しい形が沢山あることが分かりました。また、正8面体を見た時には、映画「天空の城ラピュタ」(宮崎駿監督)に出てきた「飛行石」がこんな形をしていなかったか、などと思い出してしまいました。ともかく、丸っこい双対(そうつい)とか、とがった星型とか、かわいい形が沢山あることを知っただけで嬉しくなってしまいました。

正20面体の折り紙
それから川村さんですが、この人も相当の人でした。講演中、川村さんが「折り紙でこの立体を作った感じが何とも言えないんですよねぇ〜!」と一人悦に入った瞬間があったのですが、その時彼女の目は、少女マンガのようにキラキラと輝いていました。
そんなわけで、第2回目も非常にいい講演会でした。今後のからくり作品への応用が楽しみです。しかし、木で多様な立体を作るには高い技術が必要です。でもそこは、逆に職人の腕の見せ所でもあります。

20,12面体の第七の星形
●あとがき
第2号は以上です。第3号では、引き続き講演会の様子を紹介します。
(岩原)
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